第4章 嫉妬は蜜の味
「何悲しそうな顔をしてるんですか……」
再び呆れ顔プラスため息をつかれる。
ちょ、そんな顔しなくてもっ!!
「前にも言ったように、ただ心が清らかになる様にと保護しているだけですよ」
すぐに笑顔になる紅楼。
どうだか……信じれると思っているのか?
いつ死ぬのか、怯えながら過ごすのが苦痛だというのに。
『はぁ……』
まぁ、ここで言い争うのもどうかと思い話を続けるのを止めた。
紅楼と距離を開けていたため近づこうとしたその時、
「あ! 紅楼っ♪」
「うわっ?! 初菜(ニイナ)っ」
突然紅楼に抱き着いてきた女の人。
初菜と呼ばれたその女性の登場にその場で私は固まってしまう。
「久しぶり〜。 紅楼また一段と男前になったんじゃない?」
「なってないです。 幾ら久しぶりだからと言っていきなり飛びつくその癖、いい加減直しなさい」
「え〜!」
どんどん会話が進んでいく。
完全に置いてけぼり……いや、蚊帳の外だ。
仲が良さそうというか、実際仲がいいのか……あまり見ていても楽しくない。
『紅楼、その人……』
聞こえないだろうなと思い発した言葉に意外と早く気づいてくれた紅楼は、その女性を引き剥がしながら答えた。
「あぁ、コイツは初菜。 と同じ淫魔ですよ」
『同じ?』
改めて初菜さん?を見ると私と同じような形の首輪をしていた。
やっぱりあの首輪が証なのか。