第4章 嫉妬は蜜の味
「……おーい、ー!」
『ん……? にゃぁ』
「にゃぁ……じゃなくて、さっさと起きて着替えたら出掛けますよ」
『出掛ける? 私も?』
「そうですよ。 だから早く支度してくださいね」
朝っぱらから叩き起されたと思えば、何だ出掛けるのか……。
ベッドから起き上がり私服に着替える私。
『…………え、出掛けるの?』
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「何をさっきからソワソワしてるんです」
まだ人通りが疎らな街を歩きながら紅楼が話し掛けてくる。
ソワソワって言うかなんと言うか。
『だってコレ、』
そう言って私が触ったのは首に着けられた飾りの様な物。
何かはよく分からないが、何かいい感じは余りしないから気になってしまう。
『何か、いい感じしない』
「まぁ、そうですね。 一種の首輪に値するものですから」
それを聞いた瞬間すぐに外しにかかる私。
まぁ、案の定外れる訳なくすぐに諦めた。
「そこまで気にすること無いですよ。 悪魔が繋がれている証ですから、他にも着けている悪魔は居ます」
『え、 私だけじゃないの?!』
驚きで思わず大きめの声で聞き返してしまった。
幸い周りに人が居なかった為紅楼にも怒られなかった。
「だけじゃありませんよ。 どれだけの悪魔がいると思ってるんですか」
呆れた顔で再び歩き出す紅楼。
『じゃあ神父は悪魔を捕まえては……殺してるの?』
「…………。」
私が尋ねた瞬間、空気が変わった。
生温いような風が私達の間を通り抜けていく。
紅楼は歩みを止め表情を変えないまま私の方を見た。
なかなか返ってこない返答。
もしもYesだったら、私も殺される。
『私も、殺すんでしょ……』
胸が締まる。
自分で言っておきながら何故か胸が苦しくて、何処か辛くてモヤモヤした気持ちだ。
紅楼の口がゆっくりと開く。