第3章 空腹対処法
『お、なか……すいたぁ、くろぅ…』
居ないと分かっているのに私は紅楼を呼ぶ。
だがもちろん返答は無く静寂だけが訪れる。
いっそ結界を壊して逃げてやろうか……そんな事を考え、結界に手を伸ばす。
『壊したら…出られる?』
街に行って、また色んな奴から精気を吸い取って、色んな街を点々とするのがいい。
そんな想いで私は結界を……あれ?
『な、んで……こわれないっ……』
「そんな簡単に壊れる訳ないでしょう?」
『っ!!』
ビクッと身体が跳ねた。
不味い……逃げようとしたの、聞かれてたらまた十字架。
恐る恐る振り返ると笑顔の紅楼が立っていた。
笑顔……あ、良かった、バレてない。
『探してたのに……』
「すみませんね。 少し離れていたんですよ」
『ふーん……ねぇ、ご飯食べたい』
「あぁ、そうでしたね。 部屋に戻りましょう」
『ん、戻る』
立ち上がり先を行く紅楼に追いつく。
「あ、次逃げようなんて考えたら……覚悟して下さいね?」
何か企んでそうな笑顔で紅楼が言った途端ゾワッと鳥肌が立った。
『は、はぃ……』
これはヤバそうだ…。