第3章 空腹対処法
棚の片付けを終わらせ、言われた場所の掃除を終わらせた私は紅楼を探して聖堂に来ていた。
集中すれば早く終わったな。 まだお昼くらいなのにさ。
聖堂は太陽の光が四方八方から入って来ていて、私は肌を隠す。
明るいのは悪魔にとっては害でしかない。
早く見つけて日の当たらない場所に行きたいのに。
『居ないし。 何処に居るのよ……ん?』
見れば長椅子の所に雑巾が掛けられているではないか。
手に取ってみると少しだけ湿っていた。
『……拭けと?』
どうせやらせようと思っていたんだろうと、雑巾で長椅子を一つ一つ拭いていく。
『あー……あっつい。 暑すぎる』
どんどん光が強くなっているような気がしてならない。
暑さに耐えながらも順に拭いていき、一番前の長椅子に来た時異変が起きた。
『暑い……違う、熱い』
そう呟いた瞬間、目の前が真っ赤に染まった。
これは……炎。
場所は教会じゃない、何処か違う場所の燃えている光景が私の目の前に見えている。
『や、何っ?! 熱い、熱っ、』
体中が熱い、まるで炎の中にいるようだ。
『何で! やだ、やだぁっ! 熱いっ!』
熱さに耐えられず私はその場で踠く。
何か見えない壁に体がぶつかるが構わない。
ただこの熱さから逃れようと必死に逃げ回るが、熱さは増すばかりで一向に引かない。
『熱い、熱いっ……ぁ、つ…はぁ、はぁ』
焼ける……身体が、燃える。
やだ、やだ……熱いよ。
「っ?!」
『あつ、はぁ……熱いっ、ぁぐ』
紅楼の声がする。
どこ? 紅楼が、見えない。
「目を閉じて、じっとして」
後ろから抱き締められる感覚。
目を手で覆われる感覚。
紅楼の声がすぐ近くでする。