第3章 空腹対処法
棚の上には籠に入ったタオルや石鹸等、色々乗っていたのだが、グラグラと揺れて落ちてきた。
『っ、いって……え? うわぁっ!?』
バサバサっと頭の上からタオルを被り、その横に色んなものが順番に落ちてきた。
その音を聞いてか、紅楼が扉を開けて入ってきた。
「うわっ……何をしてるんですか、まったく」
何も知らない紅楼は呆れた顔をしながら私の方へとゆっくり近づいてくる。
紅楼の甘くていい匂い、美味しそうなあの匂いが鼻を燻る。
ドクンッ
胸が一際大きく脈打つ。
甘い、美味しそう……ご飯が、食べたい……
口の端から涎が伝い息が上がってくる。
『ぁ、はぁっ……はぁっ』
今すぐ飛びついて食べてしまいたい……のに、
『ストップ!!』
気づけば私は叫んでいた。
紅楼はあと数センチの場所で止まり、驚いた顔を見せた。
『はぁ、はぁ……ごめんな、さいっ。ちゃんと、片付けるから……紅楼は居なくて大丈夫、だから』
「……そうですか。 じゃあ、ちゃんと片付けをお願いしますよ?」
クスッと笑った紅楼はそのまま私から離れて部屋を出ていってしまった。
『はぁ……何で、私。 片付けなきゃ…』
モヤモヤする思考を他所にすぐさま落ちてきた物を棚に戻していく。
タオルはきちんと畳んで……面倒にも思わなかったのは何故だろう。