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赤い空、秋の風、耳に届くは雨の声。   《ハイキュー!!》

第2章 秋の風に吹かれ、



委員会で何度か顔を合わせるうち、俺と雨宮はすぐに打ち解けた。雨宮は派手な性格ではなかったが、幼馴染みだからか、赤葦にとても似た雰囲気だった。一緒にいて、とても安心できた。

『木葉君て、秋が嫌いなの?』

「おう、大っ嫌い。季節ん中で一番」

そんな会話をしたのは、委員会の後の帰り道でのことだった。雨宮が切り出した"どの季節が好きか"という質問に、少なくとも秋ではない、と俺は真っ先に答えた。

「寒いし、日ぃ暮れんの早ぇし」

『"木葉"も"秋紀"も、秋っぽいのに?』

「言われてみればそうだな…」

雨宮の言葉に、俺は頷いていた。名字も名前も秋らしいのに、秋が嫌いだなんて。

「だってよ、秋って微妙に寒いだろ。それに日が暮れるのも早ぇしさ」

『んー、そっかぁ…』

「そーそー」

『でも私は好きだよ、秋』

なんで?と首を傾げる俺に、雨宮は好きな理由を教えてくれた。

沈む夕日が鮮やかで綺麗なこと。空を飛ぶアキアカネの群れのこと。空に架かる真っ白な絹雲のこと。それから枯れ葉の絨毯のこと。

雨宮は俺とは全く違う感性を持っていて、俺がただの景色と思っているものでも、彼女にとっては特別なものになった。

『だからね、秋ってそんなに悪い季節じゃないと思うんだよねぇ。わかる?』

「んー、なんとなく…?」

『あ、ほら、空が綺麗だよ』

きょろりと辺りを見回した雨宮は、正面を指差した。その先には、オレンジ色に染まる空が広がっている。ピンクと紫といろんな色が混じり合って、俺も綺麗だと思った。

「すげー、綺麗だな…」

『でしょ?秋のこと、好きになった?』

邪気の欠片もない、まっさらで純粋な笑顔を浮かべる雨宮。気が付けば、俺はこくりと縦に頷いていた。


その日を境に、俺は雨宮のことを目で追うようになった。何を考えているのだろうとか、どんな風に景色を見ているのだろうとか、そんなことばかりが気になった。

雨宮は俺をただの友達としてしか見ていないのは、火を見るより明らかだったが。

だから告白するのは悩んだ。でもフラれる恐怖よりも伝えたい想いの方が遥かに大きく、3年の夏休みにコクった。

返事は、Yes。あの時の喜びは忘れることはないだろう、と俺は思う。


   
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