赤い空、秋の風、耳に届くは雨の声。 《ハイキュー!!》
第3章 雨の声を聴く。
あまりにも2人が静かだから、思わず目を瞑った。どうしよう、すごく怖い。幻滅してる?失望してる?どんな、顔してる?そのままの姿勢で硬直していると、フッと笑う声が聞こえた。恐る恐る顔を上げると、木葉も赤葦君も、笑っていた。
『え、あれ、なんで笑って…』
「雨宮さん」
『っひゃい!』
ビクッとすると、赤葦君がクスクスと笑いながら言った。
「俺がそんな小さいこと気にするわけないじゃないスか。まぁ叶わない恋なんだなって思ったのもありますけど、俺もクラスの奴等にからかわれたんです」
『そ、そっか…』
緊張が解け、弛く笑う。木葉はというと、私に近付いて、それからいきなり抱きしめてきた。
『わっわっ、こ、ここ木葉っ///』
「ムダに心配させやがって。そんなん最初っから気付いてたわ、ボケ」
『え、うっ、うそ!』
「雨宮、赤葦のこと気にしすぎ。逆に不自然だったからね、キミ。部活の後に俺を迎えに来た時とかさぁ、どんだけ気にしてんの。チラ見しすぎですぅ」
『そ、そうなんだ…』
それは、無意識だった、確実に。
「雨宮が別れたいってなら別れる。でも俺は、雨宮を好きだから。それだけは忘れんじゃねーぞ?」
『は、はい…///』
なんて、直球どストレート。木葉はこういうこと普段言わないから、余計に。木葉の腕の中で赤くなり、湯気をたてていると、ベリッと引き剥がされる。
「ちょっと、俺まだ雨宮さんのこと好きなんですから。目の前でいちゃつかないでくれませんかね」
『っ、ご、ごめん…』
「まぁ、いいですけど。俺の方が雨宮さんとは付き合い長いんで」
挑発にもとれる赤葦君のセリフに、木葉が反応し、頬がひきつる。
「赤葦クン、それはケンカ売ってんのかな?」
「さぁ、どうでしょうね?」
『え、待って、この流れでケンカは…』
「「原因は誰ですか」」
『すいません私ですごめんなさい!』
半ばヤケになって言うと、木葉がぶっと吹き出した。つられて赤葦君も笑い、ついには私まで笑ってしまった。
2人と仲直りもできて、本当に嬉しい。こうなるまでに色々あったけど、こうして笑えることがどんなに大切なのか、ようやくわかった気がする。
いつもより高いような秋の空に、私達の笑い声は朗らかに響いていた。