第32章 姉の二回戦
薙景
「何で着替えてないの?新しい体操服貰ってるじゃん」
轟
「…色々考えてたら、忘れた」
薙景
「ふーん…」
色々って何だろ…オタク君の事かな。
薙景
「…次の試合…私、飯田君と戦うんだけど」
轟
「あぁ…頑張─(薙景「絶対勝って、君と戦うから」─!」
轟君の目が、驚いたように見開かれる…私がそういう事言うのは意外だったみたい。
薙景
「いや、自分でも驚いてるんだよ?こんな事言うなんてさ」
私、あまりこういうの燃えない方なんだけど…轟君とオタク君の試合に感化されたかな。
薙景
「まぁ…君にとっちゃ、私なんか眼中にないかも知れないけどさ」
轟
「……いや、お前が強いのは知ってる。敵にするなら厄介だろうな」
薙景
「おー、嬉しい事言ってくれるね」
取り敢えず言いたい事言えたから、私は踵を返して控え室から出る。
薙景
「お互い頑張ろうね〜」
轟君に手を振りながら、私はドアを閉めた。