第28章 妹の一回戦
奏
「雄英に居る間だけなんだ…体育祭って名目で、思いっきり“個性”を使って戦えるのは」
バッ パシッ
私が向けた拳は避けられ、奏君にその腕を掴まれる。
奏
「欲を言えば、巡姉みたいにカッコ良くなりたい」
奏君の上から2番目の姉・巡ちゃんは、雄英高校の卒業生で……普通科でありながら雄英体育祭準優勝という偉業を成し遂げた人でもある。
奏
「あの時のお姉ちゃん、すっごく楽しそうだった。それに、すっごくカッコ良かった」
バシッ
私は、逆の手で掌底打ちを繰り出した。
奏
「ウッ」
奏君の顎にヒットし、私の腕から奏君の手が離れる。
奏
「っ…だから…」
奏君は、後ろに反った体を元に戻して、ニッと笑い…
奏
「風利ちゃんに勝って…僕も、もっともっと戦ってみたいんだ」
パキン
指を弾いた。