第1章 姉の出会い
薙景
「一々メモするなんて、よっぽど好きなんだね〜」
私がそう言うと、オタク君はまたも照れたように頭をかいた。
薙景
「私もヒーロー志望なんだ」
「そうなんですか…!あのっ、えっと…どんな…“個性”を…」
薙景
「んー…風を操る的な?」
「風…自分の動きを補助出来るし、逆に相手の動きを牽制出来る。威力にもよるけど…大体どんな環境でも使えるし、救助でも活躍出来そうな…(ブツブツ」
薙景
「おーい、オタクくーん(汗」
帰って来ーい。
薙景
「君は、どんな“個性”を持ってるの?」
「あ……えっと…ぼ、僕は……」
オタク君が言い辛そうにしてる所で、私の鞄から電子音が鳴り出した。
薙景
「Σヤバ、学校行かなきゃだった……ごめん!じゃ、縁があったらまたね!」
「あ、はい…」
私は、戸惑うオタク君に背を向けて、遅刻確定の登校へ駆け出した。
結局、“個性”も名前も聞けなかったな〜…ま、また会えた時聞けば良いか、ヒーロー志望ならこの先接点あるかもだし。