第16章 不安と不審
風利
「姉さん…怪我してない?」
薙景
「怪我なんてしてないし、他に悪いところも無いよ」
風利
「…敵(ヴィラン)と何があったの…てか、何で気絶なんかしたの!」
ガシッと私の両肩を掴みながら、風利が凄い剣幕で迫って来る。
?
「こらこら落ち着いて、風利」
薙景
「!ヨシさん…」
後ろから風利の肩に手を置いたのは、風利と私の叔父、八剣達佐(やつるぎたつよし)…通称ヨシさん。
忙しかった両親に代わって、私達の面倒を見てくれた育ての親。
薙景
「ヨシさん、来てたんだ…仕事は?」
達佐
「無理言って任せて来たよ。雄英に敵(ヴィラン)が襲撃、姪っ子2人のクラスが危険に晒され、そのうち1人が意識不明になった…と聞いて、駆け付けない訳ないだろ?」
耳が痛い。
薙景
「…ごめん」
謝ったら、ヨシさんに頭を撫でられた。
達佐
「さ、いつまでも玄関に居ないで、中入れ」
薙景
「はーい」