第2章 別れは突然に
エースとユナがストライカーに乗り込み暫く走らせていると前方に麦わら帽子を被ったドクロマークの海賊旗が見えてきた。
「お、あれだな」
その言葉にユナはひょっこりとエースの背後から顔を覗かせる、見れば確かに羊をモチーフにした可愛らしい一艘のキャラベルの船があった。
スピードを落としキャラベル船の横にストライカーを着けていると、ふと船上から話し声が聞こえる事に気が付いた。
「──とにかく強ェんだエースは‼︎」
よく通るその声を聞いたエースはすごく嬉しそうだった、ルフィの声は聞いた事が無いがおそらくこの人物がエースの弟なんだろう、聞かなくても分かるエースの顔がそれを物語っているのだから。
「でも今やったらおれが勝つね」
それを聞いたエースはニィっと口端を釣り上げる、まるで悪戯を思い付いた子供のように。そして音も無く跳び上がると船の手摺りへと着地した。
「お前が、誰に勝てるって?」
「わっ…、エ〜〜ス〜〜‼︎」
「よう、…あーこいつァどうもみなさん、ウチの弟がいつもお世話に」
「「「や、まったく」」」
ルフィの仲間に礼儀正しくお辞儀をすると仲間も釣られてお辞儀をする。ルフィも兄エースに会えた事が嬉しいのだろう、終始笑顔が絶えなかった。
「エース、何でこの国にいるんだ?」
「ん?何だお前ドラムで伝言聞いたわけじゃねェのか」
「ドラムで?」
「あー、いいさ別に大した問題じゃねェから…、それよりお前に紹介したい奴がいるんだ」
「紹介したいヤツゥ?」
「あァ…、来いよユナ!」
ストライカーで待機していたユナはいきなり呼ばれてビクリとした、見ればエースがこちらを手招きしている…なんだろと思いながらユナはその場から音も無く舞い上がるとエースの隣へふわりと着地した。
突然現れた少女に一味の視線が集まる──。
その視線を気にも止めず、初めて見る麦わらの一味の面々を見渡しているとユナは麦わら帽子を被った一人の男に目を止めた。手配書で見て顔は知っている”麦わらのルフィ”彼がエースの弟だ、初めて会うのに何処と無く懐かしい…それがルフィの第一印象だった。