第2章 別れは突然に
『初めまして麦わらの一味の皆さん、私はユナと申します…以後お見知りおきを』
「「「これはご丁寧にどうも」」」
ペコリと礼儀正しく頭を下げると一味も揃って頭を下げた、見た目は幼さが残るが雰囲気は大人びている栗色の髪をした何処にでもいそうな普通の少女、一味のユナに対しての第一印象はそんなものだっただろう。
「で、こいつがどーかしたのか?」
じぃーっとユナを見て首を傾けながらルフィはエースに尋ねた。
それはユナも聞きたいところだった、弟のルフィに会いに来ただけなのに態々麦わらの一味に紹介されるとは…、只単に紹介してくれただけなのかそれとも…なんとも言えない不安を拭えないでいるとエースの口からとんでもない言葉が発せられた。
「あァ…、ちょっと頼みてェんだけどよ、暫くユナを預かってくれねェか?」
『…⁉︎、え、ちょ…⁉︎』
突然の事にユナは咄嗟に言葉が出ない、それは麦わらの一味も一緒の様で皆それぞれが呆然としている。
『ちょっと待ってよエース!私そんな事聞いてないわよ⁉︎』
身を乗り出す勢いで詰め寄るユナをまぁまぁと手で制すとエースはルフィに再度「頼むよ」と振り向いた。
「…あァいいぞ、でもそいつはいいのか?」
『…⁉︎、いい訳なっ…⁉︎』
突拍子もなく言うエースもそうだが二つ返事で了承するルフィにも驚かされる。直ぐさま否定しようにも誰かに口を手で塞がれた、言わずもがな犯人はエースだ。ユナは必死に手を退かそうと奮闘するがエースの力に敵うはずもなく、ただヴーヴーと唸るしかなかった。
「…あの〜、その子嫌がってるみたいだけど…?」
遠慮気味に、だけどハッキリと自分の代わりに気持ちを代弁してくれた人物にユナは思わず目を向けた。鮮やかなオレンジ色をした髪に素晴らしいプロポーションの綺麗な女性だった。
「あー、どうぞお構いなく…なんせこいつの意見は全て無視でって言う約束だからなァ」
折角綺麗なお姉さんが助け舟を出してくれたと言うのに一瞬にして物の見事にエースにへし折られてしまった、第一約束とはどういう事だ…?
怪訝にして眉をひそめているとその様子を見たエースが呆れ口調で言ってきた。
「なんだ…、忘れたとは言わせねェぜ?オヤジの船を出る時約束したろォ?」