第12章 失われた言葉
先ず初めに船を降りたのがルフィとゾロだった、二人だけで町へ行こうとするも「あの二人が絶対に問題を起こさない訳がない」とナミが急いで後を追う。
それを見届けながらユナも町に行こうか悩んでいると不意に声を掛けられた。
「良かったら風使いさんも一緒にどう?」
風使い、そう呼ばれ一瞬考えたが自分の事かと理解するとユナは声の主の方へと振り向く。
「ちょっとショッピングに行こうと思うのだけれどどうかしら?」
ロビンに誘われ一瞬迷うがユナは一緒に行く事にした。まだ考古学者が苦手という意識はあるが、それを理由にロビンを避けるのは良くないと考えての事だった。
『じゃ、ちょっと行ってく──』
「サンジまで行っちまったらこの船は誰が守るんだよ〜⁉︎」
「頼むサンジ、行かないでくれェ!」
出掛ける事を伝えようとしたが何やらウソップ達は取り込み中の様で、まぁいいかとユナはロビンと共に船を後にした。
暫くしてサンジの「ユナちゃんとロビンちゃんは⁉︎」と言う叫び声が響いたが二人に届くことは無かったのだった。
『ロビンいいのあった?』
「ええ」
町に入ったユナとロビンは先ずは服の調達をするべく服屋へと足を運んだ。
「あなたも服を買ってはどうかしら?」
ユナの格好を上から下へと眺めながらロビンが提案する。Tシャツに短パン、ダサいとまではいかないがもう少しオシャレに気を使えばそれなりに綺麗になるだろう。
『私はいいわ、動きやすければいいの』
元々顔立ちも整っているしプロポーションも悪くはない、そう思っての事だったが本人はオシャレには興味がない様だった。
「…勿体無いわね」
そう呟きながら二人は店を後にした。
港に海賊船ばかり停泊していただけあって町中を歩けば人相の悪い人や明らかに海賊ですと言う人が大半を占めていた。道中「殺しだー!」と言う叫び声まで聞こえて来たが、二人は気にする事なく次の目的地を目指す。
『情報収集と言えば酒場かしら』
「そうね…あそこにしましょう」
早々にショッピングが終わり空島への情報収集の為二人はある酒場へと足を向ける。ギィと扉を開け初めに目に入ったのは、屈強な男達がお世辞にも上品とは言えない笑いを浮かべ酒を飲んでいる姿だった。