第12章 失われた言葉
ロビンが手に入れたエターナルポースを頼りに船を進めているとやがてひとつの島が見えて来た、島が見えた事でテンションが上がるルフィに対して島に近付くにつれてユナの表情は厳しいものへとなっていく。
「体調でも悪いのかいユナちゃん?」
ユナの異変に気付いたサンジが心配の声を掛ければユナは大丈夫と返した。
『ただ…ここの風はやけに騒がしいなと思って』
実は先程から変な胸騒ぎも拭えないでいるが、これは気のせいだろうと無理やり無視する事にした。
「風が…?」
サンジは島の方を見やるが特にこれと言って何も感じない、だがユナちゃんはカゼカゼの実を食べた風使いだ、きっと常人には分からない何かを感じ取れるんだろうと結論付ける。
「大丈夫、何かあってもおれが命をかけてユナちゃんを守るよ」
ニッと笑いそんなかっこいい事をサラッと言うサンジはほんと紳士だなと思う。
『じゃ、その時はよろしくね…お・お・じ・さ・ま』
冗談交じりで悪戯っぽく笑えばサンジは一瞬動きを止めた。
初めて見るユナの小悪魔な笑顔にサンジは一瞬心が揺らいだのだ、だが直ぐにいつもの調子に戻る。
「あァ、お任せ下さいプリンセス」
片手を胸に軽くお辞儀をするその仕草は正しくお姫様に傅く家臣のそれだった。そんなやり取りが可笑しくて、顔を見合わすとどちらとも無く笑い出す、程無くしてよく通るルフィの声が聞こえてきた。
「うひょ〜、何だかリゾートっぽい町だなァ」
その声にならい、船から顔を覗かすと確かにリゾートを思わす雰囲気の町があった。
しかしリゾートな町並みに反して港には海賊船ばかりが停泊しており嫌な予感しかしてこない、それでも空島への手掛かりを掴むためメリー号も港に停泊させる。