第9章 また逢う日まで
「”ダチ”のため…?」
Mr.ボン・クレーの目の色が変わる、友達の為自ら危険に身を晒す麦わらの一味に深く感銘を受けると、良い案があると一味に持ち掛ける。
「え⁉︎ボンちゃんホントにいいのか⁉︎」
「あーたり前じゃなァ〜い」
何でもルフィとMr.ボン・クレーはアラバスタ直前に一回友達になっていたらしく友達の為ならと囮をかって出てくれのだ、思ってもみなかった申し出に一味は甘える事にした。
Mr.ボン・クレーがルフィに化け、他の仲間はメリー号の横を並走していた自分の部下にさせて、Mr.ボン・クレーはアヒル船でメリー号を離れて行く。
作戦通り海軍は囮のアヒル船を追い掛けて行った、十分に海軍と距離を取ってからナミが号令をかける。
「…よし今の内よ!ユナ、任したわ!」
『アイアイサー』
予め任務を言われていたユナはナミの合図でマストへ向けて風をぶつける、風を受けた帆はメリー号を物凄い勢いで前進させた。
「うひょ〜早ェなァこりゃァ!」
「見ろよ!海軍がもうあんなに遠いぞ!」
「コレなら時間に間に合いそうね」
「カゼカゼの実って便利だな!」
仲間が口々に感想を漏らす中メリー号はあっという間に東の港へと辿り着いた。
「…ビビ来るかな…」
「ぜってェ来るに決まってる!」
ビビが来るのを願って待っていると、不意に声が聞こえてきた。
「少しだけ…冒険をしました──」
それは拡声機で町の方から聞こえてきたビビの声だ、首都アルバーナは今、式典の真っ最中でビビもそれに出席する。声が聞こえてきたという事はビビはココへは来ないという事。
「…行こう、12時を回った」
「来てねェわけねェだろ!下りて探そう!」
サンジが言えばルフィが今のはビビの声に似てただけだと、尚もビビが来るのを信じている。
「おれ達の時とは訳が違うんだよルフィ」
「おいまずい!海軍がまた追って来たぞ‼︎」
ウソップが後方に迫る海軍を見つけて焦る中、サンジに諭されてルフィは渋々港を離れる事にしたその時──。
「みんなーー‼︎」
港から確かにビビの声がした、振り向けばそこには人影があった。