第9章 また逢う日まで
日が昇り時刻は間もなくお昼になる。
「くっそー!砲弾できたら弾き返せるのに‼︎」
「おいもうこれ以上修復出来ねェぞ⁉︎」
麦わらの一味の船メリー号にはいくつもの大きな鉄槍が刺さっていた。夜明け前にはカルガモ部隊のおかげで無事船まで辿り着けたが、出航して間もなく海軍に見つかり今四方を軍艦に囲まれ攻撃を受けていた。
「くそ、一度に二面守るのが精一杯だな…ユナちゃんがいなきゃもっと悲惨だっただろう…な!」
言いながらサンジは飛んで来た鉄槍を蹴り落とす、ルフィとゾロも飛んで来る鉄槍を一緒に防ぐが四方八方から飛んで来る全ての攻撃には対処出来ない。
「ユナ!そっちは大丈夫か!」
『うん!…なんっ…とか!』
ルフィが反対側にいるユナに問い掛ければユナが返事を返す。風で防壁をつくり飛んで来る鉄槍を防ぐが、大きく重い鉄槍は風だけでは全てを防ぐ事は出来ず数本が船へと突き刺さる…このままでは船が沈むのも時間の問題だ。
そう思ったその時、ドカーンと大砲の音が響いたと思えば四方の内の一ヶ所の軍艦に砲弾が命中し、船が崩壊していた。
「すっげーなウソップ‼︎」
どうやら狙撃したのはウソップらしくルフィが賞賛している、当てた本人もまさか当たるとは思ってなかったらしく呆然としていた。
「よし、ナイスよ〜ん!南の陣形が崩れたわ、あの一点を抜ければ被害は最小限に抑えられるわ‼︎」
一際大声で叫ぶおカマ口調のこの男は元B・Wのエージェントの”Mr.ボン・クレー”だ、彼が他人そっくりに化けれる悪魔の実の能力者らしい。
アラバスタ周辺の海が海軍に包囲されてしまった為、脱出するのに仲間を増やそうとメリー号を海軍から守ってくれていた彼は今、一時休戦と言う事で共闘している。
「ちょっとあんた達ィ!さっさと南を突っ切って逃げるわよ‼︎」
前方の軍艦にはこの四方を囲む艦隊の隊長が乗っている、どの階級の隊長かは知らないが正面突破するよりはウソップが撃破した南を突っ切った方が確実だと、Mr.ボン・クレーは声を上げるが、すかさずルフィがそれは出来ねェと言う。
「なんでなのよォ⁉︎」
「…仲間を迎えに行くんだ!」
そう、ルフィ達にはビビとの約束がある。”東の港”に12時丁度、もう遠回りをしている時間も無い、だからこのまま正面突破をするしか無いのだ。