第9章 また逢う日まで
「ビビだ!」
「ほら見ろやっぱり来たじゃねェか‼︎」
「よし、今すぐ船を戻そう!」
みんなが喜ぶ中ユナだけが少しの異変に気付く。
『待ってルフィ…ちょっと様子が違うみたい』
ユナの言葉に腕を伸ばそうとしていたルフィは停止し、他の仲間もビビの方を見やる。
「お別れを──言いに来たの──!」
「!」
「まだまだ冒険をしたいけど私、やっぱりこの国を”愛しているから”!…だから一緒には行けません‼︎」
カルーを横に連れ涙声でだけど笑顔で叫ぶビビにルフィはそっかと呟く。
「誘ってくれてありがとう!…いつかまた会えたら……っ、もう一度仲間と呼んでくれますか⁉︎」
「当たりま…っ⁉︎」
涙を流しながら言うビビにルフィが即答で返事をするが、言い終わる前にナミに口を手で塞がれてしまった。海軍が直ぐ傍まで来ているこの状態で返事をすれば海軍にも聞こえてしまう、それではダメだ…一国の王女をビビを犯罪者の仲間には出来ない。
ビビには酷だがこのまま黙って別れる事を仲間は決意する、背を向けてしまった仲間にビビは涙が止まらない…やっぱりもう仲間とは呼んで貰えないのか、そう思った──だが。
「──!」
メリー号の上で横一列に並ぶ仲間は、左腕を空に突き上げていた…そこに見えるは腕に書かれた”×印”、アラバスタでの戦いの前にルフィが言っていた言葉を思い出す。
──これからは左腕のこの印が”仲間の印”だ!
他人そっくりに化けるMr.ボン・クレー対策に考えた印だった、ちょっとでも仲間が怪しいと感じたら左腕の包帯を”取って”この印を見せる、念には念をの二段構えの”仲間の印”。
ビビとカルーも嬉しく左腕を空へと突き上げる…その時一陣の風が吹いた。
『──またね…ビビ、カルー!』
気のせいでは無い、確かにユナの声が耳に届いた。きっと風に乗せて伝えてくれたのであろう言葉にビビは笑顔になる。
「えぇ、またいつか…」
遠くになって行くメリー号を目に焼き付けるとビビは涙を拭う。
「…さ、帰ろうカルー!」
「クエー!」
カルーに跨るとビビはその場を後にした、また逢うその日を楽しみにして──。