第9章 また逢う日まで
アラバスタ料理をお腹いっぱい食べて大浴場にも入って大満足のルフィ達は再び部屋へと戻って来ていた。陽はすっかり沈み外は既に夜の帳に支配されている。
「今夜⁉︎」
「そう」
「ここ出るのか」
部屋に戻るなり話し合うは今後の事。最後まで目を覚ます事が無かったルフィが目覚めた今、もうここに長居する理由はない。
「そうだな海軍の動きも気になる…」
タバコをふかしながらサンジが言えば他の仲間も異議はない様で黙って頷いている、そんな中ビビだけが暗い顔をしていた。
「…ねぇみんな……わたしどうしたらいい?」
みんなと一緒にこのまま旅を続けたい反面、アラバスタの王女として国民と一緒に暮らして行きたい…俯いたまま消え入りそうな声でビビが問い掛ければナミが一つ提案をしてくれた。
「…ビビに考える時間をあげるわ」
それは明日のお昼12時丁度に”東の港”に一度だけ船を寄せる事、もしビビがこのまま海賊として行きたいのならチャンスはその一度きり。ビビはアラバスタ王国の王女だ、そう易々と海賊には勧誘出来ない。
ビビの心情も察して自分達に出来る事はこれが精一杯だとナミが言う、他の仲間達もビビが仲間になるのは大歓迎だと口を揃える中、ルフィだけは「今来いすぐ来い絶対来いよ!」と言っているのをサンジがやめろとツッコミながら一味は窓からぞろぞろと部屋を出て行く。
その姿を見送るビビにユナはくるりと振り向いた、目が合えばユナは優しく笑う。
『ビビならどっちを選んでもきっと素敵な未来になるよ』
「…ありがとうユナさん」
ビビも微笑み返す、じゃァまたなとルフィが言えばそれを最後に一味は部屋から居なくなった。さっきまで賑やかだったのが嘘のように静寂が部屋を支配する中、ビビは一人窓の外を眺めるのだった…。