第9章 また逢う日まで
「だったらちょっくら探してこようか?おれもユナちゃんが心配だし」
「…それならみんなで探した方が早いわ」
「だな…ンじゃとっとと探しに…」
「──いや、おれ一人でいい」
みんなの声を遮ってルフィが声を上げる。
「…一人でいいってルフィおめェユナの居場所分かんのかよ」
ウソップの最もな意見に他の仲間も同意らしく、ルフィにみんなの視線が集まる。
「──いや、分かんねェけど多分大丈夫だ…ちょっくら行ってくらァ」
「え、ちょっとルフィー!」
言うが早いかルフィはユナを探しに窓から飛び出して行ってしまった…ナミが何やら声を荒げていたが最早ルフィに届く事は無かった。
「…もうっ、ルフィったらいつも勝手な事して…」
「まぁまぁ、ルフィが大丈夫だって言ってんだし…おれ達は二人の帰りを待ってようぜ」
ナミを宥めながらウソップが言えばルフィの何時もの身勝手さに慣れてる仲間達はそうだなと二人の帰りを待つ事にしたのだった。
一方、仲間達がそんな話をしているとは露知らず、話題の張本人のユナは膝を抱えて夕陽を眺めていた…サワサワと心地良い風が髪とオレンジ色の帽子を撫でて行く──。
──王宮の天辺にユナはいた。この町で一番高いこの建物は全てを見渡せる、耳を澄ませば町を修復する人々の活気が風に乗って伝わって来た。
風が伝えてくれる声を頭の片隅で聴きながらユナは物思いに耽っていた…今回の戦いで自分は何の役にも立てなかった。
ルフィ達がクロコダイルに捕まった時もビビが王宮から落とされた時も、砲撃を止める為みんなが駆け回ってた時でさえも自分は何も出来なかった、挙句の果てには海軍に見逃して貰った事もある…それが只々悔しくてユナは顔を膝に埋めた。