第8章 終戦
ルフィをコブラから降ろして道端に寝かすとすかさずユナとチョッパーが駆け寄った。
「それで…その毒って言うのはもういいのか?」
クロコダイルとの死闘でルフィは毒を食らったらしく、サンジが確認でコブラに問う。
「あぁ…中和されたはずだ……だが傷の手当てをせねば…君達もな」
ルフィは勿論のこと他の仲間も傷だらけの姿にコブラが治療を促すがゾロが辺りを見渡しながら口を開く。
「それよりビビ早く行けよ」
「え?」
「広場に戻れ」
安全を確認するとゾロは道端に腰を下ろした、言われた意味が分からず戸惑っているビビに、今度はウソップが口を開く。
「そりゃそうだ…せっかく止まった国の反乱に王や王女の言葉もナシじゃな…シマらねェもんな」
だったらみんなの事も国民に紹介したいと言うビビにサンジがやんわりと断る。
「ビビちゃんわかってんだろ?オレ達ぁフダツキだよ…国なんてもんに関わる気はねェ」
タバコに火を付けてニッと笑うサンジにビビは何も言えない。確かにみんなは海賊だがこの国を救ってくれたのには変わりないのだ…何とも言えない遣る瀬無い気持ちが溢れてくる。
「…おれは腹がへったぞビビ」
ビビの気持ちを察してチョッパーが、
「そうね、わたしももうヘトヘトだから先に王宮へ行ってるわ」
次いでナミが、
『早くみんなに無事な姿見せてあげないと、ね』
最後にユナが笑顔でビビを後押しする。
「──うん、分かった…みんな後でね」
みんなの気持ちを無駄には出来ないと、ビビはコブラと共にその場を後にした。
二人の姿が完全に見えなくなると糸が切れたかの様にバタバタと一味はその場に倒れて行く、ビビの前では気丈に振る舞ってはいたが既に一味の体力も気力も限界だった。
唯一ユナだけが意識を手放さずその場に膝をつくだけに留まった。
『………』
みんなを王宮へ運んであげたいのは山々だったがもう自分にはその余力は残っていない、血を流し過ぎたのと降り続ける雨に体温がどんどん奪われて行くのが分かる。少しでも気を抜けば意識を失うだろう…。
『…せめて雨だけでも……』
ユナは手を翳すと一味の頭上に風の障壁を作った、気休め程度だがこれで雨での体温の低下は防げるだろう。