第7章 タイムリミットとビビの声
──瞳を閉じ全神経を集中させて風を伝う、探すのは雨雲…ここに来る前に”ユバ”でも探して能力を使ったから近くまで来ている筈だ。案の定雨雲はすぐそこまで来ていた、ユナは雨雲を見付けると風を使ってその雨雲を分裂させた。
『オウリアーネモ(追風)』
分裂させた片方をアルバーナへ向けて送る、もう片方も時期にアラバスタに来るだろう、全ての雨雲を送らないのは自然のサイクルを壊してしまうから、折角アラバスタに戻って来た自然の雨だ…これ以上は弄れない。
半分だけなら影響もそれ程無いだろう、それでも”自然の理”に反する事には変わりない。
雨雲を送るに連れてドクンドクンと一際大きく脈打つ心臓を無視してユナは集中する。
程なくして雨雲が上空に現れた──。
「オイあれ…‼︎あれ見ろ‼︎」
ウソップが上空を指差し叫ぶ、それに習って他の仲間も上空を見る。
「……‼︎」
「‼︎」
「クロコダイル…⁉︎」
そこに見えたのはクロコダイルが地面から空に向かって吹っ飛んでいる姿だった。
時計台からもクロコダイルの姿は確認できた、空高く上がるクロコダイルを眺めながら今までの苦しい戦いが走馬灯の様に脳裏を駆け巡った。悪夢の始まりだった人物が今、仲間の手によって倒されたのだ。
──ルフィが勝ったんだとビビは人知れず胸を撫で下ろした。