第7章 タイムリミットとビビの声
ルフィが勝った…。
そう、クロコダイルは敗れたのだもう敵はいないのに尚も争いが止まらない現状にビビは血が出るほどにキツく建物を引っ掻いた。
「…もう敵はいないのに……これ以上血を流さないで……」
グッと前を向くとビビは渾身の力を込めて叫ぶ。
「──っ戦いを…‼︎やめて下さい‼︎」
「もうこれ以上…‼︎戦わないで下さい‼︎」
ビビの叫びが、願いが響き渡ったその時…ポツ…ポツ…と上空から雨が降り出した、やがて雨は土砂降りになり人々の狂気を洗い落として行く。ビビの声に気付いた人々がそれぞれ時計台を見上げていた。
「…煙が雨で晴れて行くぞ」
「ビビの声が届いた…」
一味も信じられないと言う感じで事の成り行きを見守っている。
「…今降っている雨は…‼︎昔の様にまた降ります……悪夢は全て…終わりましたから……‼︎」
争いが治り雨で静けさを取り戻した広場にはビビの声がよく響いた。それでも納得のいかない人達はいる訳で、どこからとも無く現れた”アラバスタ王国護衛隊隊長”がその場を鎮めていた。
四年にも及ぶ争いは今、終止符を打たれたのだ──。
これでもうこの国は大丈夫だろう、それを確認すると一味はその場からふらりと姿を消した。
一方で建物の屋上からその様子を見ていたユナも一息つくと踵を返しその場を後にした…。