第7章 タイムリミットとビビの声
「ビビ様、私は…あなた方ネフェルタリ家に仕えられた事を…心より誇らしく思います」
「なに…を…」
ペルが爆弾を立派な鳥の鉤爪で掴む、まるで全てがスローモーションの様にビビにはゆっくりに見えた、嫌な予感がするのに身体が動かない、止めないとと思うのにペルの笑顔がそれを拒む…そして…。
「っ…ペル‼︎」
ペルは爆弾を持ったまま時計台から出ると空高く飛び上がった──。
我──アラバスタの守護神ファルコン
王家の敵を討ち滅ぼすものなり──
ドォォンと巨大な音と共に強烈な爆風が巻き起こった。余りにもの威力に国王軍も反乱軍も一瞬戦いを止める、時計台の下で待機していたナミ達も一部始終を見て呆然としていた。
広場が静まり返る…だがそれも一瞬の事、すぐに国王軍と反乱軍が雄叫びを上げながら再び激しくぶつかり合った。
「…なん…で、砲撃は止めたのに…」
砲撃を止めても止まらない争い、そこにあるのは最早”狂気”と言うのが正しいだろう…人が人を平気で”殺し合う”光景にナミは思わず足が竦みそうになる。
目の前の光景に圧倒されていると、ふと頭上から声が聞こえる事に気が付いた。
「……を……くだ………‼︎」
「たた……や…………い‼︎」
見上げればビビが必死に何かを叫んでいた、ビビの叫びに耳を傾けその言葉を読み取る。
「戦いを…………下さい‼︎」
「戦いを‼︎やめて下さい‼︎」
「……バカね」
叫んだところでこの狂気は治らないだろう、それでも必死に叫び続けるビビに胸が痛くなる。
「ほら、何ボサッとしてんのよ!殴っても蹴ってでもしてあんた達も戦いを止めるのよ‼︎」
ナミの叱責が飛ぶ、言われなくともみんなの気持ちは一緒だ…ビビの為にもこの争いを止めなければ。そして一人でも多く争いを止める為一味は散り散りになった。