第7章 タイムリミットとビビの声
何はともあれ上にサンジがいるのは有り難い、そのまま上まで行って砲撃を止めてもらおう、そう思い時計台のてっぺんを指しながら叫んだ時だった。
「よォ‼︎探したぞお前ら‼︎」
「ん?」
息を切らせながらサンジの更に上の階にゾロが現れたのだ、聞けば海軍が北へ行け北へ行けと言うもんだからひとまず高い時計台に登ったらしい。
「北と上は全然違うぞ⁉︎」
ゾロの余りにもの方向音痴振りにウソップは突っ込まずにはいられない。
「とにかくでかした!そっから上へ行って 砲撃を止めてくれ‼︎」
「ダメ!」
ウソップの提案にビビが即座に否定する、時計台の構造上二人の位置からじゃ時計台の内部へは入れないらしい。最上階に行くには一階にある奥の階段からしか登れないと言うのだ。
「でもゾロならこの塔の壁を壊して…」
それならとウソップが言うがそんな衝撃に砲弾が耐えられるとは限らないとビビが言う。
「じゃあどーしろって言うんだよ‼︎」
「今それを考えてる‼︎」
良い案が浮かばずウソップとビビが言い合う中、今まで黙ってたナミが口を開く。
「ちょっと待って…私に良い考えがあるわ」
自信満々に言ってのけるナミに三人の視線が集中する…。
「──おいナミ、ホントにこんなので上まで行けるのか⁉︎」
「ちょっと黙って!今計算してるから!」
ナミの提案で今、時計台の下にはウソップがチョッパーとビビを背負って中腰で立っている。これから何が起こるか分からないがどうしても嫌な予感しかしないウソップは若干腰が引けていた。
「……よし。天候は”台風”…サイクロン=テンポ!」
言いながらナミは武器であるクリマタクト(天候棒)の一部をウソップ目掛けて投げ飛ばす。
「オ…オイ、サイクロン=テンポはただの宴会後のブーメラン遊びで…」
「目指すは時計台っ‼︎」
砲撃まであと15秒──。
ナミが叫ぶのと同時にクリマタクトは見事にウソップの股間に命中し爆風を起こした。
「ハウッッ」
何とも言えぬ激痛にウソップは成す術なく爆風で真上へと吹き飛ばされた、一部始終その様子を見ていたサンジとゾロはナミがしようとしてる事を読み取り建物の外へと飛び出した。