第7章 タイムリミットとビビの声
「ウソップー‼︎」
発煙筒を見たナミとチョッパーが時計台の下へと集まって来た。
「ナミさん!トニー君も‼︎」
ウソップと先に合流したビビは2人の姿を見て安堵する。既にB・Wのエージェントとの戦闘で全身傷だらけだったがそれでもこの反乱の中、無事でいてくれた事に胸を撫で下ろす。
「ビビ、ウソップ、砲弾が見つかったの⁉︎」
ナミの質問にビビが答える、まだ確認した訳じゃないが小さい頃に時計台で遊んでいたビビは、もうここしかないと確信したのだ。
この塵旋風も作戦の内だとしたら…それでも照準を失わず広場を見渡せる場所、高さもあるし時計台の中はそれなりに広い、砲弾を仕掛けるには打って付けだ。
「でもビビ‼︎場所が分かってもあと1分じゃあんな上まで登れないわよ‼︎」
「ペルさえ来てくれればと思ったんだけど…‼︎」
ペルとは王宮に仕える戦士の一人、トリトリの実を食べたモデル隼(ファルコン)の王家の守護神だ、彼さえいれば時計台の上まで行くのに造作も無いのだがその頼りの綱のペルが見当たらない。
「クソー、ユナも来ればひとっ飛びなのにな…」
口を零すウソップに他の3人の視線が集まる。
「なにウソップ、あんたユナに会ったの⁉︎」
「ウソップさん!ユナさんに会ったの⁉︎」
「ユナは無事なのかウソップ⁉︎」
ビビは王宮でユナの姿を見たが、ナミはカジノの地下でクロコダイルに連れ去られるのを最後にユナに会っていない。チョッパーに至ってはそれ以前に別れた切りだ。
詰め寄られウソップは思わず仰け反る。
「まぁまぁ落ち着けっておめェら!」
とりあえず3人に多少怪我はしていたがユナは無事だと伝えると今はそれどころじゃないだろと諭す。
空を飛べる頼みの綱のペルとユナがいないのではタイムリミットまでに最上階には着けないだろう、どうしたものかと頭を抱えていると不意に聞き覚えのある声が降ってきた。
「おーい‼︎ナミさ〜ん!ビビちゃ〜ん!」
女性人だけを呼ぶこの甘い声は…と見上げると、案の定そこにはサンジがいた。
「何でお前がそこいにいるんだー‼︎」
時計台の中部の小窓から顔を覗かせるサンジにウソップが叫ぶ、なんでも発煙筒が上がった場所に書いてあった時計台と言うメッセージを見て来たらしい。