第2章 別れは突然に
『んー、いないなぁ…』
暫く町を歩き回ったがそれらしき人物は見当たらなかった。少し探し方を変えるか、そう考えたユナは人々が行き交う大通りから路地裏に逸れると音も無くその場から舞い上がった。
ふわりと建物の屋上に降り立つとユナは辺りを見渡す、遮るものが無くなった為遠くまで見渡せるが同時に太陽を遮るものも無くなったので直射日光が肌を直撃する。ジリジリと肌が焼けてるのを感じながらユナはこの国の異変を感じていた、それはこの国の”天候”。
アラバスタ王国は砂漠の国だ故に砂漠気候なのは分かる、だがこの国の気候は自分が知っているものとは異なっている。
それは空気中の水分が”異常”な程少ない事。
まるで意図的にかつ強引に水分が奪われているかのようだ、この海で物事を自分の物差しで計るのはよくない事は分かっている、だがそれを差し引いてもこの国の気候は異常なのだ。
違和感を肌で感じながら考えに耽っていると不意に町中が騒がしい事に気が付いた、何だろうと視線を騒がしい方へと向けると微かに炎が上がっていた。不自然な上がり方をする炎にユナは心当たりが一つある、まさかと思いユナは建物の屋根伝いに一直線にその場所へと向かった。
「陽炎‼︎」
「……⁉︎、…てめェか」
「…やめときな、お前は”煙”だろうがおれは”火”だ。おれとお前の能力じゃ勝負はつかねェよ」
炎と煙がぶつかり合う、麦わらのルフィの捕獲まで後一歩というところで邪魔が入ったスモーカーはより一層眉間にシワを寄せた。
──事の発端は数分前、ユナと別れたエースは暫く町を歩き回った後取り敢えず腹ごしらえしようとあるレストランへと向かった時のことだ、美味しい料理を堪能していたらいきなり葉巻を二本咥えた白髪の海軍がやってきたのだ。
争うつもりははなから無かった、もし戦う事になっても自分が負ける事はあり得ないその自信と余裕から油断した。いきなりなにもんかが突っ込んで来て海軍諸共店の外へと吹っ飛ばされたのだ。
「…んのヤローが…どこのどいつだ…‼︎」
ガラガラと瓦礫から抜け出しぶっ飛ばして来た人物に文句を言ってやろうと店に足を向けた、途中民家の壁も突き抜けたらしく食事中だった家族には礼儀正しく挨拶をしてその場を後にする。