第6章 ルフィvsクロコダイル
空からルフィが来たのだ、人の二倍程の大きさの鳥に乗って落下するビビの方へと急降下して行く、これで一先ずビビは助かるだろうとユナは安堵の息を漏らす。
程なくして建物の端を掴む人の手が見えた…ルフィが、来る──!
「ワ〜〜ア…ニ〜〜イッ‼︎」
怒号と共に姿を現したルフィにクロコダイルは声を荒げる。
「何度やってもお前はおれを殴る事すらできん‼︎またクシ刺しになりてェ様だな‼︎」
砂になる自分に打撃は効かない、その余裕からルフィの攻撃を避けなかったのが仇となった。
「…っ⁉︎」
クロコダイルが吹っ飛んだのだ、ルフィのパンチで。
続け様に攻撃を繰り出すルフィにユナは唖然とし、ミス・オールサンデーは興味深そうに見ている、中でも壁に張り付けにされている顎髭が特徴的な中年の男が驚きの声を上げた。
「ゴムゴムのォ…」
「誰だ⁉︎あれは‼︎」
「丸鋸‼︎」
クロコダイルが地面に倒れる…中年の男は信じられないとばかりに目を見開いていた。
「クロコダイルを…!」
しっしっしと笑うルフィが地面に着地する。その背中には樽が一つ背負われていた、そして目に付いたのは腹部の包帯…先程のクロコダイルの言葉からも察するに恐らく一度戦ったのだろう、腹部以外にも至る所に傷がみられた。
『…ルフィ……』
無意識に紡いだ言葉だったがルフィには届いたらしく視線がこちらに向く、ユナの姿を見るなりルフィはより一層眼光を鋭くさせクロコダイルを睨み付けた。
「立て、おれの仲間に手ェ出した事後悔させてやる…!この水でお前をブッ飛ばせる‼︎こっからがホントのケンカだぞ‼︎」
「…クハハ、弱点が分かったところでおれとお前の格の差は埋まらねェ、図に乗るなよ麦わらァ」
どうやらクロコダイルは水が弱点らしく、先程のパンチはルフィが背負っている樽の水で濡らした拳を食らったと言う訳だ。水が弱点…だからアラバスタから雨を奪ったのか、水が恐いから…。
むくりと起き上がり額に青筋を立てるクロコダイルはルフィを睨み付けながら荒々しく吐き捨てる。
「…おいニコ・ロビン、先に行け」
初めて聞く名に反応したのはミス・オールサンデーだった。彼女はその名は呼ばない約束よと少しばかり不機嫌に応える。
「…おれに指図すんじゃねェ、てめェはてめェの仕事をしろ」