第6章 ルフィvsクロコダイル
「私はこの国の王女よ‼︎お前なんかに屈しない‼︎」
ビビが叫ぶ、クロコダイルはビビの首を掴んだまま建物の端へと移動すると建物から飛び出す形でビビを宙に吊り下げた、この建物がどれ程の高さかは分からないが見る限り宮殿の屋上だろうか、落ちればただでは済まない。
「可愛げのねェ王女だ…」
それが最後だった、クロコダイルが手を離す。
”私はこの国を──‼︎”
『──っビビ‼︎』
ビビの想いが空を切って消えて行く、同じく叫ぶユナに気付いたのか落ちる寸前ビビは視界にユナを捉えた──互いの視線が交差する。
クロコダイルにもユナの声が聞こえたのだろう此方に視線を向けてくるがそんなものに構っている暇は無い。
身体が動かなくともユナには能力がある、帽子を抱き締め瞬発的に爆風を起こすと自身の身体をビビの方へと飛ばす。あと少し──、手を伸ばしビビを掴もうとクロコダイルの横を抜けた時、突如横腹に違和感を覚えたかと思うとユナの身体は真横に吹っ飛ばされ壁に激突した。
『っ……‼︎』
衝撃で一瞬息が詰まる、ガラガラと壁の一部が崩れる中力の入らない身体に無理言って上体を起こし状況を確認する。どうやらクロコダイルに横腹を思いっ切り蹴られた様だ、神経毒のお陰で痛みにも鈍くなっているのか身体は然程痛くはなかった。
「こいつァ驚いた…もう動けるとは…もう少しキツイのを打っとけば良かったか」
驚いたと言う割には間髪入れず蹴りを入れて来たクロコダイルは敵ながらも流石だと思う。
だが今はそんな事を考えている暇は無い。
『ビビっ…!』
手が届かなかった、あと少しだったのにまた仲間を守れなかったのかと帽子を握り締めたその時。
「クロコダイル〜〜‼︎」
雄叫びにも聞こえるその声にユナは声のした方を見上げ人物を確認すると人知れず胸を撫で下ろした、呼ばれたクロコダイルは信じられないと言う顔をしている。