第6章 ルフィvsクロコダイル
幾度と無くルフィに邪魔をされ自分の思い通りに行かない事に若干の苛立ちを隠せないクロコダイルは口調も荒くミス・オールサンデーもといニコ・ロビンに命令した。
「えぇ…従います……」
これ以上機嫌が悪くなっても面倒臭いとニコ・ロビンは返事一つで了承する。
「あァ…それと、そこにいる女も連れて行け」
その言葉にユナは身構える、今この場にニコ・ロビン以外の女は自分しかいない、ルフィも気付いたようで此方を気にしている。満足に動けない今の状態では確実に不利だ、それで無くともさっきは捕まってしまったと言うのに…。
ユナは歯噛みした、何よりルフィの戦いの邪魔を、足を引っ張りたくはない──。
ニコ・ロビンが此方に近付こうと一歩踏み出した瞬間、ユナは叫んだ。
『ルフィ!』
転びそうになりながらも全力で建物の端へと駆け出す。
そして──、
『クロコダイルを必ずぶっ飛ばしてね』
ニッと笑い建物の縁に手をかけるとそのまま空へと飛び出した。ユナの予想外の行動にその場にいた全員が一瞬動けなかった。
「なっ…⁉︎あの少女は大丈夫なのか⁉︎」
風を使えばこの高さもどうって事ないだろう、唯一ユナの能力を知らない中年の男だけが焦りを見せている。
「…他人の心配より自分の心配をしたらどう…Mr.コブラ」
「ぐぁ…っ」
壁に張り付けられていた中年の男、コブラと呼ばれた男は壁と腕とを固定されていた釘を抜かれ激痛に声を上げた。
「…あの子を追うには手に余りそうだから、先に此方を片付けとくわ…それでいいかしら?」
ニコ・ロビンがクロコダイルに提案すれば渋々と言った感じでクロコダイルは了承した。どうせあの身体ではそう遠くへは行けないだろう、とっとと麦わらを殺して捕まえに行くか、そう思った時だ。
「……のピストル(銃)‼︎」
いきなり顔面めがけて飛んできた拳を紙一重で避けるとクロコダイルは徐にルフィに向き直る。
「言ったハズだ…仲間を傷付けるヤツは許さねェ」
まるでクロコダイルの考えが分かっているかの様にルフィはクロコダイルを睨み付ける。
「相変わらずの減らず口だな…」
互いに睨み合う、そしてどちらとも無く駆け出すと激しい戦闘が開始された──。