第5章 ワニの家
『もう、人の話は最後まで…』
「怯むな!相手はガキ一人だ‼︎行けー‼︎」
ユナの言葉には聞く耳持たず次から次へと向かってくる敵の攻撃をヒラリヒラリと躱すと、ユナは空へと舞い上がった。
『ちょっとは人の話聞きなさいよっ、アネモストロビロス(竜巻)!』
町中なのもお構い無しに両手を翳し地上へ向けて竜巻を叩き付ける、下にいたB・Wは竜巻に巻き込まれると四方八方へと飛ばされた。案の定周りの民家も多少なりとも破壊してしまったが。
そして誰もいなくなった地上へふわりとユナは着地する。
『…ふぅ、人を子ども扱いした罰よ』
仁王立ちになりふんっと鼻を鳴らしユナは独り言ちた。
ルフィ達より頭一つ分背の低いユナはその身長からか、年齢に反してよく子ども扱いされる事がある…実際は本人の仕草も子ども扱いされる原因なのだが当の本人は気付かない。
仲間からなら…まぁ百歩譲って我慢出来るとしても、赤の他人ましてや敵からの子ども扱いは我慢ならないのだ。
『……ちょっとやり過ぎたかな』
少し冷静になり辺りを見回すと所々民家が崩壊していた、これでも昔に比べたらだいぶ成長した方である、昔は見境なしに全てのものを壊してよく怒られていたものだ…。
悪い事したなと思いつつも先を急ぐ為その場から離れようとしたが、ふと気配を感じて立ち止まる。
見れば下劣な笑みを浮かべながら新たな敵がぞろぞろと姿を現した、どうやら暴れ過ぎたようで騒ぎを嗅ぎつけたB・Wが集結しだし、その数は先程の比ではなかった。
『ハァ…、どんだけいんのよB・W…』
民家に被害が出るのであまり大技は使えない、コントロールして加減すれば大丈夫なのだが生憎そこまでの繊細なコントロールは今のユナには出来ない。
これはちょっと長期戦覚悟で行くしかなさそうだ、心の中で皆んなに合流に遅れる事を謝りながらユナはB・Wを一掃する為駆け出した──。