第5章 ワニの家
『…っ、ティエラ(疾風)!』
「ユナ!」
『みんな今の内に‼︎』
海軍に向かって突風を送りつける、だが砂埃を巻き込んでの攻撃の為少しの間しか足止めはできない、エースにも言われたがあまりやり過ぎると町にも影響が出る。
「クソっ…、あの時の女か…‼︎」
突風を受けてスモーカーが忌まわし気に舌打ちをした。ナノハナでポートガスと一緒にいた女がなぜ今麦わらと一緒にいるのかは分からないが…何にせよ今度こそ取っ捕まえてやる。
同じ手を二度も食らうほどスモーカーもバカではない、突風が吹いているのは自分達の前方のみ、ならばとスモーカーは力の限り地を蹴って上へと飛び上がった。
予想通り上には突風が来ない、スモーカーは即座に煙になるとユナ目掛けて降下して行く──。
『なっ…⁉︎』
予想外の行動にユナは一瞬反応が遅れた、ヤバイと思った時にはもう既にスモーカーの手が目前まで迫っていた。
『──っ、⁉︎』
スモーカーの手がユナに届くまで数センチと言うところで突然誰かに腰を攫われそのまま空へと投げ飛ばされた。
『え、なっ…⁉︎ルフィ⁉︎』
飛ばされながら確認すれば腕を伸ばして掴んだであろうルフィが少し前を走っているサンジに向けて叫んでいた。
「サンジー‼︎」
「ンあ?…‼︎おっとと」
『わわ…っ』
「オイこらルフィ!レディはもっと丁寧に扱え‼︎」
ルフィによって投げ飛ばされたユナは咄嗟のことにも関わらず難なくサンジにキャッチされ腕の中に収まった。怒られたルフィは「悪ィ」と一言いうとビビに向き直った。
「ビビ、クロコダイルはどこだ⁉︎」
聞かれ、ビビは前方に見える屋根がワニになっている建物を指す。この町のカジノ”レインディナーズ”、その経営者がクロコダイルなのだ。それを聞いたルフィは別れて逃げる事を提案する、とりあえず海軍を撒かなければ。
「よし、じゃあまた後で!”ワニの家”で会おう‼︎」
それを合図に一味は3つに別れた、別れる間際にルフィがスモーカーを挑発した事もあり、唯一手こずるであろう相手はルフィの方へと向かって行った。