第25章 過去からのメッセージ
──彼等は何時も気紛れで話し掛けてくる。
普通の人には聞こえないと知ったのはロジャー達と出逢ってからだった。だから今の私は側から見れば独り言を言ってる変な人だっただろう。
静まり返った森の中で、ただ立ち尽くしていたユナに、次いで聞こえて来たのは良く知る声だった。
「…お〜い、ユナ〜! やっと見つけた!」
『…!』
嬉しそうに駆け寄ってくるルフィにユナは目を瞬かせた。
『ルフィ…どうしてここに…?』
「ん? だって呼んだだろ? おれの事」
『え…呼んでないけど…』
「そーなのか? まァユナに会えたからどうでもいいや」
にししと笑い「ほら行くぞ」とルフィは手を差し出す。だがユナは差し出された手を見詰めた後、顔を伏せた。
エースが迎えに来るまでと言う期限付きではあるが、このままルフィ達と一緒に居ても良いのだろうかと、今更ながら躊躇ってしまう。
ルフィ達の力になりたいと思った事は嘘では無い、けど今迄私が力になれた試しはない。それどころかお荷物になってる状況にルフィの手を取れなかった。
私はこのまま──
俯くユナにルフィは訝しげな顔をする。
「どうかした──」
『あのねルフィ、私はここに残るわ』
「…何言ってんだ?」
『私ね、空島結構気に入ったの、だからエースの用が終わるまでここに居ようと思うの』
これ以上迷惑は掛けられない、だからここで別れよう。例え一人になるとしてもロジャーとエースの"モノ"があれば大丈夫。
決断し、顔を上げたユナはニコリと笑う。
「………」
そんなユナを目の当たりに、ルフィは無言で近付いて行くとユナの目の前で徐ろに屈んだ。
ルフィの行動を疑問に思うより先に、ユナの足が地面から離れる。
『ちょ、ちょっと…ルフィ⁈』
軽々とルフィの肩に担がれたユナは突然の出来事に慌てた。落ちそうになった帽子を咄嗟に押さえる。