第25章 過去からのメッセージ
「よし、行くか!」
『待ってルフィ、話聞いてた⁈』
何事も無かったかのように踵を返すルフィにユナは抗議の声を上げた。だがルフィは御構い無しにズカズカと歩いて行く。
多少暴れてみたりもするが腰を持つルフィの腕はビクともしない。
『ルフィ…っ』
「言っただろ、船降りるのは許さねェって」
少し怒気を含んだルフィの声音。
なんで?
どうしてルフィは私にここまで構うの?
ただの居候なのに、特に役にも立たないお荷物なのに──
「それに怪我してる"仲間"を置いてけねェだろ」
『…っ』
ルフィの言葉にユナは奥歯を噛み締めた。
違う。
私は仲間じゃない。
仲間には、"なれない"───
『ルフィ…私は、"居候"よ』
あくまで平静を装って、感情を押し殺して。
後ろ前に担がれているユナにルフィの表情は分からないが、そう言えば腰を持つルフィの腕に力が入った。
「でも今は仲間だ!」
先程よりも強い口調で言うルフィに、胸の奥がズキンと痛んだ。けどそんなのは気のせいだと、気の迷いだと、気付かない振りをする。
『今も居候よ』
「仲間だ!」
『居候よ』
「仲間だ!」
『っ、居候よ…!』
「おれが仲間だって言ったら仲間だ!」
『ルフィが何と言おうと私は居候よ!』
白ひげにいた時は仲間だと言われても、居候だと返せばみんなそれ以上は何も言わなかった。なのにルフィは私が否定すればする程、むきになって言ってくる。
最近、ルフィの事が分かってきたと思っていたけど、どうやらそれは間違いだったようだ…ルフィがむきになる理由が分からない。
けど、それでも…私も譲るわけにはいかない。
仲間だ、居候だと、押し問答を続ける二人は騒がしくも森を去って行く──。