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巡り逢わせ【ONE PIECE】

第25章 過去からのメッセージ


鬱蒼と生茂る森の中、何処へ向かうでもなくユナはただ足を進めていた。
エースの帽子を被り、俯くユナの表情は分からない。




"──みんなの所に戻らなくていいの?"
『………』


"そろそろ島を出るみたいだよ"
『………』


"急がないと置いてかれちゃうよ"
『……それもいいかもね、迷子になってたら置いてってって言ってあるし』


"もぉ、キミはまたそんな事を言う"
『だって…』


ロジャーみたいにいつか会えなくなるくらいなら初めから一人の方がいい。
こんな想いをするくらいなら初めから関わらなければいい…ロジャーのメッセージを聞いて元々あったその想いが膨れ上がった。

今ならまだ間に合う、ルフィを、麦わらの一味を好きになる前に、引き返せる。それにこんな手負いじゃこの先足手纏いは目に見えてる…だからエースの用が終わるまでここに居るのも悪くない。


足を止めギュッと帽子のツバを握るユナに、呆れた口調で"彼等"は溜息を吐いた。



"ここに居たらキミは一人だよ?"
『…でもここにはロジャーのメッセージがあるわ』


それはロジャーがここに居た確かな証。
今の私にはエースから預かった大切な帽子もある、縋れるモノがある…私にはそれだけで十分なんだ。


ユナの胸中を知ってか知らずか、再び彼等は大きな溜息を零した。



"はぁ〜、キミは相変わらずだね。彼はそんな事を望んでメッセージを残したんじゃないんじゃないかな"


"キミはもっと周りに甘えるべきだよ"
『……そんな"迷惑"な事は出来ないわ』


"別にいいじゃないか、キミにとっての迷惑が彼等にとっては迷惑になるとは限らないじゃないか"
『迷惑にならないとも限らないわ』


"もぉ、キミはホントに───っと、来たみたいだね"
『…?』


何が? と聞く前に彼等──"アネモス(風)"達はお喋りを止めてしまった。







風が凪ぐ。






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