第4章 真にやるべき事は
「アー…アー…」
「あーあー言わない、こっちまでダレるでしょ…!」
ナミの叱責がとぶ、あまりの暑さにルフィが垂れているのをナミが注意するのはこれで何度目だろうか。チョッパーは暑さに弱いらしくソリに乗ってダウンしているのをゾロが引いている。
『チョッパー大丈夫?』
「…んおー……」
ユナが問えば余程堪えているのだろう、チョッパーは返事をするのもダルそうだった。
『…風くらいなら送れるけどちょっとはマシかな…”アイラーキ”(そよ風)』
無風だった場所にそよそよと風が吹き始める、気持ち程度だが無いよりはマシだろう。そんな事を考えていると一部始終を見ていたウソップが声を上げた。
「ちょ…ちょっとまてェ!ユナおめェ能力者だったのか⁉︎」
その声に一味が振り向く。
『あれ、言ってなかったっけ?…カゼカゼの実を食べましたよろしく!』
「いや聞ぃてねェし、紹介雑すぎだろ⁉︎」
ビシッとウソップにツッコミを入れられるが当の本人はあははと笑っている。
「カゼカゼの実ってなにができんだ?」
首を傾げて聞くルフィにユナは「風を操れるよー」と返した。
「風を…ってことは自然系か」
『んー、自然系じゃなく超人系かな、私風にはなれないし』
そう、自然系は自身を自然そのものに変化させ操る事が出来るのだが生憎ユナが出来るのは操る事のみ、風にはなれない。
「カゼカゼの実なんていかにも自然系っぽいのに、悪魔の実ってつくづく謎ね」
「…まァ何にせよ頼もしい限りじゃねェか」
「…ハッ!待てよ…⁉︎」
突然何かを思ったのかサンジの顔が真顔になる、どうしたんだろうと顔を覗き込むが次の瞬間ナミによって腕を引かれた。
「可愛らしくて頼りになってそのうえ風も操れるなんて…ユナちゃんはもしや天使…⁉︎」
「ハイハイ、バカ言ってないで行くわよサンジ君」
いつもの事なのだろう一人妄想に耽るサンジを放置して一味は歩き出す、ゾロなんか最早他人のフリだ。