第25章 過去からのメッセージ
ゾロの理論で言うのならば何処の方角に進んでも戻るなら先ずは後ろなのだが…そもそも進む方角は方位が基本だ。
『…ゾロ、北って分かる?』
「何だよ藪から棒に…北は上だろ」
うん、ゾロの方向音痴を治すには時間が掛かりそうだ。
『……そうね、じゃ私行くわね。助言もありがと』
「あァ気にするな」
再び筋トレを再開したゾロを尻目にユナは空へと舞い上がると大蛇を一瞥してから飛び去って行ったのだった。
ルフィ達と別れ少し離れた所でユナは地面に着地した。
『……ふぅ』
ほんの少ししか飛んでないのに何だか身体が重い、何でだろう…何時もならこんな事無いのに。
まぁ、元々空島を探索する気なんて無かったし、あの場から離れられれば良かった…正確には黄金を取りに行くのを避けたかった。
あるか”分からない”黄金探しは良かったがあると”分かっている”黄金探しに誰が好き好んで行くだろうか。
いや、世の中の大多数が好き好んで行くだろう。今この場に誰か居たら間違い無く突っ込まれているが生憎とここにはユナ一人だけだ。
私には──ルフィ達に黙っている事が幾つかある。その中には白ひげクルーの大半が知らない事もある。
元々居候だし言うタイミングが無かったって事もあるけど…態々言う必要も無い事だ。
そう思ってたのに──…
ルフィ達に黙ってる事が今は何だか心苦しい。
どうしてだろう……
考えに耽っていたユナは不意に聞こえて来た歓声に耳を向けた。
声はどうやら森を抜けた先から聞こえてくるようでユナの足は徐にそちらへと歩き出す。
暫く歩けば開けた場所に出て島の崖縁に辿り着いた。そこで目にした”モノ”にユナは感嘆の息を漏らした。