第24章 垣間見える鱗片
──……
「あれ、ユナはどこだ?」
宴を楽しむルフィは姿の見えない仲間を探してキョロキョロ辺りを見渡した。
「ユナならさっきまでそこに居たけど…?」
「どこにもいねェぞナミ」
「おかしいわねさっきまで居たのに」
ルフィの言う通り近くにユナの姿は見当たらなかった。
もしかしたら御手洗にでも行っているのかもしれない、だからその内戻って来るでしょとナミが言えばルフィは分かったと駆け出して行った。
「いや絶対分かってないでしょ!」
叫ぶナミをその場にルフィの姿はあっという間に見えなくなって行く、デリカシーの欠片も無いルフィにナミは額に手を当てた。
「もうっ、アイツったら…」
「何だぁナミ、どーかしたのか?」
鼻と口の間に割り箸を挟んだ宴会芸の格好のウソップが呑気にやって来れば、ナミは事情を説明した。それを聞いたウソップは何やら思い当たる節があるのか腕組みをし考える素振りを見せる。
「前から思ってたけどよ…ルフィって割とユナの事気に入ってるよなァ…この島で二手に別れる時も駄々こねてたし」
「言われてみれば確かにそうね…」
この島で黄金を探す為、探索チームと船の確保とで別れた時の事だ、初めユナは船の確保だったがルフィが嫌だと駄々を捏ねた為ルフィと一緒の探索チームになったのだ。
その時はあまり気にしなかったが今迄ルフィがチーム分けで誰かと一緒がいいと駄々を捏ねた事はほぼ無い…ユナもめんどくさいのに気に入られたものだ。
我が船長の執着は凄い、それは身を以て知っている…何処ぞで手に入るGホイホイ並の粘着質の船長のしつこさは一味全員が保証するだろう。
ユナはエースが迎えに来たらこの船を降りる、その時にルフィが駄々を捏ねなければいいのだが…あんなにお気に入りならルフィが素直に別れるとは考え難い。
駄々を捏ねる我が船長の姿が容易に想像でき、まだ先の事に今から頭が痛くなりそうだった。