第24章 垣間見える鱗片
『……あ、エンジェル島が無くなったんじゃ服買えないじゃん』
宴の喧騒を聞きながら楽しそうに踊る人達を眺めていたユナは重大な事に気が付いて溜息を零した。
折角解決策が見つかったのに振り出しに戻ってしまった。
何だか麦わらの一味の居候になってから上手くいかない事ばかりだ。
ユナは動かない左腕をギュッと抱いた。
戦えると思っていた、迷惑はかけ無いと思っていた…でも結局は力及ばず迷惑をかける事になった訳で…
ユナの顔が陰る。
ルフィ達の力になりたいと思ってたけど足手纏いになるくらいなら──
『…やっぱ船降りようかな』
「だから降りるなんておれは許さねェぞ!」
『…!』
俯いていたユナは突如降ってきた声に驚いて顔を上げた、そこに居たのは先程まで宴の中心人物だったルフィだった。
いつの間に居たのか、全く気付かなかった…。
「なんだ腕痛ェのか?」
『え……あ、ううん大丈夫、それよりどうかした?』
宴好きのルフィが宴の最中に態々こんなトコに来るなんて何かあったのか、心配するユナにルフィは少し不機嫌に眉を寄せた。
「お前がいねェから探しに来たんだ」
『え…』
「ほら行くぞ」
『いやちょっ──』
ユナの返事を待たずにルフィはユナの腰を掴むとそのまま肩に担ぎ遺跡を飛び降りた。
二人がいた場所は遺跡という事もありそこそこの高台だ、普通の人ならまず自殺行為に違いないだろう。
ルフィなら大丈夫とは分かっているが流石に心の準備が欲しかった。ユナは突如襲い来る浮遊感に既視感を覚えながら一瞬息を飲んだのだった。