第24章 垣間見える鱗片
「他に何か言う事ないの?」
『他に? うーん……あ、ナミその服もいいわね似合ってる』
ニコリと笑って答えればナミは額に手を当て盛大に溜息を吐いた。
「もういいわ…これ以上聞いても答えないだろうし、着替え終わったんなら戻るわよ」
踵を返し歩いて行くナミにユナは内心ホッと息を吐いた、チョッパーも威圧から解放されて胸をなで下ろす。
「ああ、それから!」
クルリと振り返るナミに反射的に背筋が伸びる。
「私は何着ても似合うのよ」
『…さいですか』
捨て台詞を置いてナミは再び歩き出す。ユナとチョッパーもナミの後に続いてメリー号を後にした。
広場に着けば既に宴が始まっていた。
エネルの攻撃によりコニス達の住んでいたエンジェル島は跡形も無く消えてしまった…下層に避難していた人達は帰る場所を失い、みなアッパーヤードに集まったらしくスカイピアの人達もゲリラと呼ばれていた人達も、争いをしていたなんて嘘みたいにみんな仲良く盛り上がっていた。
陽はすっかり沈み広場に組まれた焚き火が勢いを増す毎に人々の歓喜は高まって行く。
──後から知った事だがスカイピアの住人と後から来た青海人、ゲリラと呼ばれる人達は400年前から争っていたらしい。
ゲリラは元はジャヤの先住人でシャンディアと言うらしく、400年前の巨大なノックアップストリームで空島に飛ばされた人々だった。
ナミの推測は当たってた訳だ。
大地を巡って争った400年…アッパーヤードの森に入った時に感じた、体に纏わり付くような強い残留思念はそれだったのだ。
そしてその亀裂はそう簡単に埋まるものじゃない。なのに今、誰もが争いを望んでいないのは火を見るよりも明らかだった。
エネルがいなくなり支配から解放された歓びを、自由になった喜びを皆んなで分かち合っている…そんな人々に混じり宴を楽しむ麦わらの一味。
ユナはその様子を一人、遺跡の上から見下ろしていた。
広場に着いて直ぐにナミとチョッパーは宴に参加して行ったが、何だか今はそんな気分になれなくて…ユナは一人宴から抜けて来たのだった。