第24章 垣間見える鱗片
服なんて何でも良いのに。
何もする事の無いユナはぼーっと船窓を眺める、そろそろ陽も落ちるな…なんて考えてると「さァどれがいい?」とナミが服を並べて見せてくれた。
…前言撤回、私にも多少は服の拘りはある。
ナミが見せてくれた服は大きく背中が開いてたり胸元が開いてたりと、どれも露出が高い。基本動きやすければ良いのだが、それとこれとは話が別だ。
『普通のTシャツでいいんだけど』
「あんた何時もTシャツなんだからたまにはオシャレしたら? 折角私の服着るんだから」
『興味無いわ』
「あんたねェ…女なんだからちょっとはオシャレに興味持ちなさい、そんなんで今まではどうしてたわけ?」
『今まで…』
白ひげに居た時は男所帯な事もあって特にこれと言って言われた事は無かった気がする……いや、なんか言われた事もあったかも。でもオシャレに興味無かった私はよくみんなの服を拝借していた。
そんな話をするとナミに今日一番の盛大な溜息を吐かれた…なんかナミに溜息ばかり吐かれてるのは気のせいかな。
「あんたねェ…それは興味が無い以前に酷いわ……女として終わってるわよ」
『なら男として生きれば問題無いわね』
「そーいう事を言ってんじゃないわよ」
コツンとナミに頭を小突かれる。
別にオシャレが悪いとは言わないがやはり海賊をやっている以上、何が起こるか分からない日常の中でオシャレに気を使う余裕は無い。
なんて最もらしい事を言えたらいいのだが、本当に興味が無いのだから仕方がない……昔は普通に可愛い服とか興味があった気もするが。
「仕方ないわね、はいこれ」
そう言ってナミが手渡してくれたのは普通のTシャツだった、そう普通のTシャツ。
「さて、私はどれにしようかしら」
今度は自分が着る服を漁り出すナミを無言で見つめた後、ユナは着替える為服に手をかけた…だがしかし。
『…ナミ、やっぱり私このままでいいわ』
「え、何でよ?」
顔を上げるナミにユナは自身の左腕を指差す。