第23章 終焉を告ぐ島の歌声と堕ちる陰
そんなユナの返事にチョッパーは溜息を零す。
確かに海賊をやってる以上絶対安静なんて無理に決まっている、チョッパーもそれは分かっているからそれ以上は何も言わなかった。
けど問題なのは、ユナは大袈裟とか動き難いとかでゾロと一緒で直ぐに包帯を取ってしまう事だった。
それに気になる事が…肩の傷以外は殆ど切傷だったが肋も数本ヒビが入っていたのだ、それなのに平然としていたユナにチョッパーは引っ掛かっていた。
ゾロも怪我をしても言わないが元々筋肉共に精神力がズバ抜けているから、本当に何ともないのだろう…それでもやっぱり痛い時は顔を顰める。けどユナは違う…そりゃナミ達よりは鍛えられてはいるが、ゾロ程では無い。
だからこんなに酷い怪我をしていれば痛いはずなのに。
我慢しているにしても余りにも平然とし過ぎているユナにチョッパーは違和感を覚えた。
『ありがとチョッパー、もう大丈夫だから早くゾロのとこに行ってあげて』
「………」
『…チョッパー?』
何か考え込むチョッパーにユナは首を傾げる。
「ユナ」
『ん?』
「…もし何かあれば遠慮無く言ってくれよ」
『何かって…?』
「傷が痛むとか身体に違和感があったらおれに言ってくれ」
なんだそんな事か。
チョッパーが余りにも神妙な面持ちだったから何を言われるんだろうと身構えたが、杞憂に終わって良かった。
『えぇ、分かったわ』
ふわりと笑って言うユナにチョッパーは後ろ髪を引かれながらもゾロの元へと向かった。