第23章 終焉を告ぐ島の歌声と堕ちる陰
ルフィだけではなくルフィの腕に着いている金塊も一緒に飛ばすとなるとかなりの風力が必要になる、追風じゃ足りない…となると残る手段は…。
『アネモスフラグマ(風壁)──ルフィ、全力で行くわよ!』
「おう!」
『──アネモストロビロス(竜巻)!』
ユナはルフィに風壁を張ると勢い良く竜巻をぶつけた。
本来竜巻は攻撃用だが風壁を対象物に張ればダメージを与える事はない、その上その飛行速度と威力は他の比では無い。
本当は初めからこれでルフィを運べたら良かったのだが、生憎と今の私ではそれは難しい…短距離なら行けるが長距離になると持つかどうか…。
竜巻で飛ばされたルフィは物凄い勢いでジャイアントジャックを飛び出した…そして──
『…えっ、ルフィ⁉︎』
何故かルフィは舟ではなくエネルが創り出した雷迎に飛び込んでしまった。
いくらルフィに雷が効かないと言っても、雷と気流の渦で出来た雷雲の塊に突っ込めばどうなるか分からない。
『ルフィ……』
倒れていくジャイアントジャックから跳躍し空中に舞い上がったユナは不安げに雷迎を見詰めた。
「──ヤハハ、自分から飛び込むとは馬鹿め…丁度良い、いい加減うんざりだ…雷迎と共に堕ちろ!」
『…っ!』
手を振り降ろすエネルに、ユナが進撃しようとしたその時──。
突然空がバチバチと鳴り出した──否、見上げれば雷迎が物凄い音と光と共に幕放電を起こしていた。
それを見たエネルは驚愕する。
そうか──奴の右手には伝導する黄金が着いているのだ…中で奴が暴れてるのか雷迎は物凄い勢いで放電を始める。
「晴れろ〜〜〜‼︎」
渾身の力で暴れるルフィ、そしてついに──
パァアアンと雷迎が消え去り空が晴れ渡った。
『ルフィ…!』
空に現れた人影にユナは安堵の息を漏らす。
「黄金の鐘を渡せェェェ‼︎」
「おのれ…雷迎を……‼︎」
怒り狂ったエネルは自身を雷神の姿へと変え、雷迎を破ったルフィは直ぐさま黄金の着いた腕を捻りながら後ろへと伸ばす。
「じゃあな‼︎ お前ごと鳴らしてやる‼︎」
「青海のサルが…不届き者めがァ〜〜‼︎ 2億V”アマル(雷神)”‼︎」
ユナが見守る中、二人の交戦が終わりを告げる──。
「黄金ライフル(回転弾)‼︎」