第22章 合流、そして目指すもの
黄金の鐘──大鐘楼。ノーランドの日記に黄金郷と共に書かれていたものだ…黄金郷には黄金の鐘があった、その鐘の音色は美しくどこまでも遠くへ鳴り響くと言う。
大鐘楼を鳴らせば地上にいるクリケット達に届くはずだと、黄金郷は空にあったんだと伝えられるとルフィは断言する。
「…っ無茶よ! 第一空を飛んでる舟にどうやって行くつもりよ!」
「それなら問題ねェ」
ナミの言葉にルフィは視線を隣に移す、そこに居るのは栗色の髪の少女。
「頼むユナ! おれを舟まで連れてってくれ!」
クリケット達の為にも鐘を鳴らしたいと言うルフィ。
クリケット達は仲間でもなければ昔からの知り合いでもない、つい最近出会って空島へ行く手伝いをしてくれただけの赤の他人だ。確かに感謝はあるが正直命を賭ける程のものではない。
人は常に自分の有益を一番に考えるものだ、そのつもりはなくとも心底にはそれは少なからずある。けどルフィにはそれが全く見受けられない、たった一晩だったが共に過ごせばもう仲間……ルフィは損益なんて気にしない、仲間の為なら命だって賭ける。
そんな真っ直ぐな純粋さが”あの人”と被る、ルフィは本当にあの人にそっくりだ…。
感傷に浸りそうになるのをぐっと押し退けてユナは顔を上げた。
『分かったわ……そーゆー事だからごめんなさいゾロ。手、放してくれる?』
ユナの言葉にゾロは一瞬眉を寄せると徐にルフィに振り向いた。
「…お前が行くなら文句はねェが…だがルフィ、こいつもひでェ怪我してんだから途中まではてめェで行け」
ジャイアントジャックを登って行けば近くまでは行けるだろう。
「あぁ、分かった!」
ルフィの返事に満足したのかゾロはユナの腕を手放した。