第22章 合流、そして目指すもの
自由になりダランと下がる腕を押さえながらユナはゾロの言葉に目を丸くしていた。
正直ルフィを運ぶのは問題無かった、だがルフィの手に付いている軽く数トンはありそうな金塊を運ぶのには骨が折れそうだった。
風で運ぶにも今の私には限界がある。
それを見抜かれたのかそれともただ単に怪我を気遣ってなのかは分からないが…もし、怪我を気遣っての事ならこれからは気を付けよう…こんな怪我で足手纏いになるのはごめんだ。
もっと強くならなくては…もっと強く…。
考えに耽るユナにルフィが徐に近付いて行く。
「よし! 行くぞユナ!」
『え、ぅわぁ…!』
突然腰を攫われ、まるで米俵の様にユナはルフィに担がれた。視界が一瞬赤に覆われる、それがルフィの背中だと気付くとユナは体を反ってルフィに振り向いた。
『あの、ルフィ──』
「待ってルフィ!」
「何だよナミ、まだなにか──」
「違うわよ、私達も協力するわ…だからさっさとエネルを倒して来なさい!」
ナミの言葉にウソップはたじろいだ。
「おい正気かナミ…」
「だってしょうがないじゃない、ルフィは一度言ったら聞かないんだから、それに…ユナも行くのに私達だけ逃げる訳にはいかないわ」
そう言い切るとナミは人差し指を立ててルフィに振り返った。
「いいルフィ! 私達が何とかしてこのジャイアントジャックをあの舟に向けて倒すから、あんたはただひたすらテッペンまで走りなさい。そして死んでもユナは守る事!」
「おう、分かった!」
『え…ちょっと』
「じゃ行ってくる!」
『いや待っ──』
ユナの言葉には聞く耳持たずルフィは走り出す、突然走り出した事でバランスを崩したユナは咄嗟にルフィにしがみ付いた。
ルフィがしっかり腰を掴んでいるから落ちる事はないが、人ひとりと巨大な金塊を引き摺ってるのが嘘のようなスピードでルフィは走る。
気付けばナミ達が既に小さくなっていた。
「待ってろよエネル! 黄金の鐘はぜってェ渡さねェからな‼︎」
息巻きながらルフィはジャイアントジャックをひたすらに進むのであった。