第21章 決死のダイブ
「ユナ!」
ナミが叫ぶ。エネルの攻撃を受けたユナはウソップを巻き込んで共に飛ばされた。
「ゲホッゲホッ……おいユナ…大丈夫か…」
『…っ、だい、じょうぶ』
「…準備出来たわウソップ! 掴まって‼︎」
倒れる二人にナミがウェイバーを走らせながら手を伸ばす。
それに気付いたウソップがユナを抱えて片手を伸ばす、だがその手はエネルによって弾かれた。
「…っ!」
「──っウソップ! ユナ!」
「この期に及んで助かろうとするんじゃあない…!」
エネルが手を掲げるとバチバチと音を立て雷が集結する。
もうダメだとウソップが目を固く瞑ったその瞬間。
「ウソップ! そのままユナちゃん抱えてろよ…!」
「…‼︎」
『え、サンジ⁉︎』
一瞬浮遊感を感じたと思ったら直ぐに衝撃がきた、ウソップの腕の隙間から垣間見えたのはサンジの姿。
サンジはウソップをウェイバーに蹴り飛ばすと背を向けた…まさか一人でエネルとやり合うつもりか。
敵うはずない──。
直ぐさまサンジに駆け寄ろともがくが片腕一本じゃウソップを押し退く事は出来ない。
『っ、ウソップ放して!』
「ナミ! 方向はこっちでいいんだな⁉︎」
「え、えぇ…でもサンジ君が…!」
「お前ら男の覚悟を‼︎ 踏みにじる気かァ‼︎」
ウソップはアクセル全開でウェイバーを走らせると舟から飛び出した。
再び浮遊感が体を襲う、空に投げ出された体は重力に従って落下して行く。
悲鳴を上げるナミを尻目にウソップはベルト部分から鉤付きロープを発射させると、船縁に引っ掛け一人舟へと戻って行った。
それを見たユナも後を追うか迷ったがぐっと思い留まると地上に目を移した。
ナミの計画通り足下には島雲が広がっておりこのまま落下しても大怪我をする事は無さそうだった。
だが一応風を纏わせ衝撃を和らげる。
程無くしてボフンと大きな音を立てて雲の上に着地した。