第21章 決死のダイブ
「ナ、ナミ…状況は…」
「さっきまでルフィがいたけどあいつに落とされたわ、それでユナが囮を買って出てるところ…先に逃げてって言われたけどそのつもりは無いわ…!」
ナミの言葉にウソップは鼻を押さえながら顔を上げた。
「じゃあ助けは期待できねェって事だな…」
「何言ってんのよ、あんたが助けに来てくれたんじゃないの⁉︎」
「バカ言え! オレはサンジに無理やり連れて来られただけだ…第一、神相手にオレが勝てるわけねェだろ!」
威張る事ではないがウソップや自分が束になって掛かったところでエネルを倒せるとは到底思えない。
歯を食いしばり俯くナミにウソップが続ける。
「だが、女こどもを残して逃げるほどオレは落ちちゃいねェ」
「ウソップ…!」
「オレが気を引きつけるからその隙にお前は逃げる準備だ! ユナを連れて逃げるぞ…!」
「了解!」
話が纏まり、二人は二手に分かれた。
「くらえエネル‼︎ ウソ〜〜ップスペル‼︎」
高い場所に登りウソップは叫ぶ。
「爪と肉の間に針が深く刺さった!」
ウソップの呪文にエネルとユナは呆気にとられ、離れた所でナミが想像したのか一人痛いと悲鳴をあげた。
そんなナミに命を落としかねないから耳を塞げとウソップが叫ぶと再び呪文を口にする。
「紙で指の節の所を切った!」
「口内炎が歯茎に5個でき──ブヘェッ‼︎」
『ハッ、ウソップ!』
呪文を言い終わる前にエネルがウソップを殴り飛ばす。別の意味でウソップの呪文に気をとられていたユナは我に返るとウソップに駆け寄った。
『ウソップ大丈夫?』
「あァ問題ねェ…!」
「……貴様は私をバカにしているのか。それともただのバカなのか」
「オレはいたって真面目だ!」
「そうか…どうやら大バカらしい」
エネルが槍を構える。
それを視界の端に捉えたユナが駆け出そうと踏み出した──瞬間、ガクンと膝が落ち目の前が真っ暗になった。
エネルとの対峙で思いの外出血が酷かったのか血が足りない…直ぐさま体勢を立て直すがそれより先に背後に移動したエネルの槍がユナに届く。