第21章 決死のダイブ
「ユナ無事?」
『えぇ、問題ないわ。……! ナミこっち』
空を見上げていたユナは舟から飛び出した二つの影に気付くと、落下して行った方へと歩き出す。ナミもそれに続いて暫く歩けば雲に逆さに埋もれたウソップと、その傍には黒焦げのサンジが倒れていた。
「ウソップ! サンジ君!」
『……大丈夫、生きてる…!』
サンジの無事を確認すると二人は直ぐさまウソップを引っこ抜く。
「…ぶはッ…良かったお前ら無事だったか」
「あんた達もね……二人とも見てあのおっきい蔓‼︎」
遠くに見える天へと伸びる程の巨大な蔓をナミが指差す。島雲を突き抜け聳え立つその蔓をナミは遺跡でも見たらしい。だからもし同じ蔓なら今いるこの場所は遺跡の上の”島雲”なのだとナミは説明した。
「い、遺跡って黄金郷か⁉︎ あったのか⁉︎」
「ええ…でも黄金は全部エネルの手中──とにかくこの下に遺跡があってゾロ達がいる筈!」
「みんなを探して空島から脱出を‼︎ …このスカイピアにはもう……安全な場所なんてないのよ‼︎」
今も尚、雷雲の空を悠々と我がもの顔で浮遊する舟を仰ぎ見るナミにユナとウソップも空を仰ぐ。
確かにナミの言う通りスカイピアにはもう安全な場所は無いだろう、だがエネルが大人しく自分達が逃げるのを待つ筈がない…青海に逃げるにしろ足止め役は必要だ。
雷雲はみるみる大きくなっている、この大空を覆い尽くすのにそう時間は掛からないだろう…もういつ雷が落ちてもおかしく無いぐらい空が唸りを上げていた。
「とりあえず乗って! あの蔓まで行きましょう‼︎ 悪いけどユナは飛んで来てちょうだい!」
『了解』
流石に4人は定員オーバーだ。
ナミの指示にウソップはサンジを担いでウェイバーに乗り込み、ユナはふわりと舞い上がった。
「…それじゃ飛ばすわよ!」
ウェイバーを飛ばすナミにユナも後を追い4人はその場を後にした──。