第21章 決死のダイブ
衝撃で息が詰まる。肺に溜まった息を吐き出す為咳き込めば、振動で肋に痛みが走った。
──まだ…っ
近付いて来るエネルを睨みながら起き上がればエネルの背後でウェイバーを起こしてるナミが目に入った。
もう少し、このままエネルの気を引き付ければナミは助かる。
ナミが無事逃げたら後はエネルを倒すだけ。ナミには隙を突いて逃げると言ったが、逃げたところでエネルが簡単に引き下がる筈がない。
エネルから完全に逃げるにはエネルを倒すしか術はないのだ。
けど倒すにはやっぱり能力を使うしか方法が思い付かない今、ナミがいては使えない。
能力の事は……みんなには言うつもりはないのだから──。
「もうよいか。私は忙しいんだ消え去れ」
槍を振りかざし一気に眼前に迫るエネルにハッとする、反応が遅れた。
再び来る衝撃に備えユナが身構えたその時、声が響いた。
「てめェが消えろ‼︎ 必殺‼︎ 火薬星‼︎」
叫びと共に飛んで来た火薬玉がエネルに直撃し、槍がユナに届く事はなかった。
「ウソップ…!」
仲間の登場にナミは声を上げユナは軽く目を見開いた。
エネルに…神に攻撃が当たった事で船内から現れたウソップは思わず謝る。そして辺りを見渡し何かに気付くと焦り出した。
「あ…あれ⁉︎ サンジは⁉︎」
「え、サンジくんも来てるの⁉︎」
「何⁉︎ まだ来てねェのか⁉︎ ここにっ‼︎」
どうやらウソップだけじゃなくサンジもこの船に乗っているらしい。
驚く二人に対してエネルは特に顔色を変える事なくコソコソしていたネズミはお前らかとウソップに振り向く。
まずい──っ
『ウソップ!』
「…‼︎」
ユナの声に振り向いたウソップは一直線に自分に迫り来る雷に気付くと間一髪でそれを避ける。
宙返りをしながら華麗に避けたウソップは見事に顔面から着地した。それを見てナミが駆け寄る。