第20章 天敵
それ以外にも体の至る所には傷があり、服も所々が裂けていた…早くちゃんとした手当てをしなければ。
『…うっ……』
「…! ユナ‼︎ 気が付いた⁉︎」
『……ナ……ミ…?』
目を開いたユナにナミは安堵した、あとはどうやってこの舟から逃げるかだ。
幸い舟はまだ離陸していない、しかもエネルは完全にルフィに押されている。このままルフィがエネルを倒してくれれば問題は無いが出来ればユナの傷の手当てを急ぎたいし、他のみんなの事も気掛かりだ…ナミはルフィに目を移した。
ズキリと痛んだ傷にユナの意識は浮上した。
目を開ければ心配気に顔を覗き込んでくるナミがいた。
どうしてナミが…?
まだ覚醒しきれてない頭で必死に状況を理解しようと努める、ここは何処なのかあれからエネルはどうしたのか。
思考を巡らしていると突然ガコンと地面が揺れた…いや、見渡す限り板張りの床が見える事から何かの乗り物が動いたのか。
「…うそ、まさか動き出したの⁉︎」
驚愕するナミにユナも辺りを見回そうと体を起こせば腹部に激痛が走った。
気を失う前にエネルに殴られた箇所がズキズキする、どうやら肋をやられたらしい。
それでも腕で支えて何とか上体だけ起こせばルフィとエネルが目に入った。
「さぁ、始めようではないか! ”MAX2億V”‼︎ ”ヴァーリー”‼︎」
声高らかに言うエネルに呼応して乗り物は動き始める。周りの景色が次第に下がって行くところを見るとどうやらこの乗り物は浮上している様だ。
『ナミ、ここは一体…』
「エネルが創った空飛ぶ舟よ…動き出す前に逃げようと思ったのに…!」
空飛ぶ舟…。
地団駄を踏む勢いのナミを横目にユナはルフィに視線を戻す。
ルフィは傷だらけだがエネルもボロボロだ。自然系相手にあそこまで傷を負わすとは…軽く目を見張るユナだったがルフィの攻撃を受けているエネルを見てもしかしてと合点がいった。
ゴムのルフィに雷は効かないのか。